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キングオブコント2015で入賞する方法を考える。

キングオブコント2015、お笑い芸人のコント部門のコンテスト番組が先日放映された。

2組くらいの出場者が大会への抱負やいきごみをアピールする演者紹介VTRで語った言葉が頭に残った。

「とにかくネタを量産して、ライブで試して・・・」

というものだ。

 

これは、PDCAサイクルそのものではないか、と。

PLAN(計画)→DO(実行)→Check(評価)→Act(改善)。別の言葉に直すと、

プロダクトアウト(ネタを量産する)

テストマーケ(ライブで試す)

評価を受けて(ライブでウケたものを)

選ばれたネタを売れ筋としてプッシュする(厳選してコンテストにのぞむ)

この一連のプロセス繰り返し大会に向けて準備するやりかたは、大会が一般の視聴者の投票で決めるものであれば、戦略的にはあっているような気がする。

 

残念ながら、キングオブコント2015では審査方法が変更になっており、審査員の評価(持ち点の合計)でネタの順位を決める方式となった。昨年までは予選敗退者の投票での順位づけであった。

昨年までの審査方法は予選敗退者による投票制。審査員はセミプロからプロで一般視聴者よりも目は厳しいが、ある意味手の内を知っている相手も含まれており、その日のできばえ、みたいなところが評価を左右する勘所になりえる。

 

主催者サイドの思惑があるかどうかはわからないが、新しいお笑い、明日はやるネタを発掘するには、一般視聴者の声を反映するだけでは不足で、審査員の視点でこれからはやらせたいものを提示し直す必要があったのだろう。

結局、「とにかくネタを量産して、ライブで試した」ネタは今日まで支持された、はやっていたネタということになる(もちろん、ねたあわせ段階で改良が施されているものと理解している)。

もしこの仮説が主催者の意図と合致するものであれば、主催者側の意図があるものとして大会そのものが演出で作られるものと考えられるからPDCAサイクルだけでは勝者になれないことになる。

さきほど、ネタ作りをプロダクトアウトという言い方をしたが、コンビでつくれるネタ、コンビのキャラクターで演じることのネタをテストマーケティングしながら、マーケットインの要素を加えていくことで一定の評価をえられるようになる。

さらにTV局の視聴率の視点でみると、面白いかも知れないが、誰も知らないグループだけが決勝大会に出場するとなると、話題性に乏しくなる。だから、たとえば「そこそこ話題性がある枠」とか「あまり知られていないが爆発的なネタをもっている枠」「それなりにキャリアがあって、平均以上の笑いはとれる枠」などグループごとのポジショニングで決勝の出場枠が決まってくる。

PDCAとポジショニングの戦略で決勝大会まで勝ち残れる確率はあがるはずだ。

そこから先は、他の出場者との差別化を図っていくことで入賞する確率をあげていくプロセスを踏まなければならないだろう。審査方法や大会の意図から逆算して演目を再構築する必要があろう。

 

もっと深堀をしていけば、自分たちのグループの顧客層がどのような属性の人なのか、キャラクターで人気があるのか、既存のプロダクト(ネタ)には見飽きていて、新しいプロダクトを探している人に見てもらっているのか、などテストマーケの評価者の属性

がコンテストの審査方法に近いものでないと意味がないことにはなる。

 

大会を人材の育成視点でみれば、ある程度、審査員のものさしが規定されているほうが出場者にはフィードバック機能が強化され、視聴者にとっても、ただ面白かった、ではなく、ネタのストーリーが面白かった、とか、演技はよく練習されていた、とかもう一段上の感想、印象が残るから、翌年の大会の注目度もかわってくるのではないだろうか。

 

その点、欽ちゃんの仮装大賞ではアイデア賞とかユーモア賞とかいくつかの部門賞があったはずだ。フィギュアスケートのように技術点は何点、芸術点は何点と明確になれば、総合では1位になれなくても、部門ごとで評価される仕組みがあると、出演者のモチベーションにつながると思う。