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日常視点の目からうろこのビジネスアイデア、ちきりんアンサーブログ

アップルやグーグルがクルマをつくれたら日本は終わりだ。

昔、クルマはうごく携帯端末だ、と聞かされて衝撃を受けたことがある。電話の枠組みを超えて、ネットワーク化されたモバイル端末が開発され、クルマもネットワークに組み込まれる社会が近づいてきている。

アップルやグーグルが自動車産業への参入をもくろんでいるらしい。人の命を預かる箱舟をつくることには障害も多いに違いない。スマホのように、電子部品メーカーから部品を調達すれば、自動車ができるというものではないだろう。現存の自動車業界各社も

プライドをもって受けてたってほしいと思う。少し前ならタイアップして、あたらしいコンセプトの商品づくりをするところなのだろうが、今の時代、出元からおさえないと、利益を享受できないから、ハードルは高いかもしれないが長い目で見て取り組んでいこうというのは理解できる。もし仮に、アップルが自動車メーカーと共同ではなく、単独で自動車をつくれたとしたら、世界が変わるだろう。日本のシステム、ソフトの会社が車載用OSやソフトに参入してしのぎをけずってきたのはなんだったんだろう、という話になるから、もしそうなれば、日本のいわゆる電機メーカーは全滅するに違いない。

自動車産業は驚くほどすそ野がひろく、万単位の部品を、金属から樹脂からゴムから様々な素材、部品の事業者が製造分担して成り立っている。また、自動車工場をぬきにして、産業機械、産業ロボットの発展もなかったであろう。ねじの一本を製造するプレーヤー、部品輸送を担う運送業者、生産財のメーカーなどどれだけの事業者が車づくりに関わっている子とか。毎日同じ部品を朝から晩までつくってるけど、なににつかわれているか誰もわからない、みたいなところはあるが、いずれにせよ、雇用吸収力はばくだいだ。

インダストリー4.0といわれるが、部品をチョイスして組み合わせるのはクルマでもスマホでも字ずらでは同じなのだろうが、ビックデータの組み合わせではじきだされた最適値でそんな簡単に異質な素材を組み合わせ効率的にクルマができるのだろうか。

考え方の発端はERPやSCMのようにフレームがあって、仕事のやり方をフレームにあわせろっていうちょっと乱暴なやり方だ。クルマをつくる会社は一つでよくて、システム化、ネットワーク化された生産空間が産み出され、その先に計画経済が存在する。コンセプトはわかるが、なんとなく、人に近いクルマであってほしいと願うのは古くさい考えなのだろうか。